教育新聞社はESD (持続可能な社会作りを目指す活動)を応援しており、教育新聞の紙面で継続的にESDを特集しています。5月からは持続発展教育の新たな取り組みとして「アートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト」の連載が始まりました。
【連載】世界につながる壁画作成 アートマイル
第1回 5月26日(木) 「交流学習の成果を絵に描いて」
【寄稿文】 ジャパンアートマイル 代表 塩飽 隆子
ジャパンアートマイル(JAM)は、「日本人として自国の伝統文化に誇りを持ち、世界の人々と相互理解を深め、グローバルな視野をもって自ら考え行動する次世代を育てる」という理念のもと、日本の学校と海外の学校をつないで「アートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト」(IIME:International Intercultural Mural Exchange)を国内外で展開している。
IIMEは、海外の学校とインターネットを活用して交流し、環境・文化・平和などのテーマで協同学習をした後に、学習の成果を絵に表して壁画を共同制作するプロジェクトである。9月にお互いの自己紹介から始まり、12月に日本側が先にキャンバス(1.5m×3.6m)の半分に絵を描いて相手に送り、相手が後の半分を描いて完成させて日本に送り返し、3月に鑑賞と活動の振り返りをして終了する。
このプロジェクトは、相手と一緒に壁画を完成させるという明確なゴールがあることでそこに向かう全ての学習活動に必然性がある。これにより子どもたちの主体的に学び探究する態度が育つことから総合的な学習の探究学習として多く取り取り組まれてきた。一昨年度からはESD(持続発展教育)の学習としての取り組みが増えている。子どもたちは相手と関わり合いながら行う学習活動や制作活動を通じて、世界に触れて自分を見つめ直し、自分を取り巻く環境や社会への問題意識が高まり、自ら考え、判断し、行動する力が身につく。これは持続可能な社会をつくる担い手の育成を目指すESD(持続発展教育)の学習に最適なプロジェクトと考える。また、本年度から小学校で全面実施される新学習指導要領の外国語活動に示されている「外国語を用いてのコミュニケー
ションを図る」「異なる文化をもつ人々との交流等を体験し、文化等に対する理解を深める」学習としても効果が期待できる。
JAMでは本プロジェクトを学校で実施することで、世界の人々と協働して未来を切り拓く日本のリーダーを育たいと考えている。日本側が先に絵の半分を描くためには日本側が相手をリードする必要がある。どういうテーマで、どういうメッセージを込めて、どのような絵を描くのかを日本側から提案して、相手の合意を取ってゴールに向けて進めて行くという経験を子どもたちが教師と共にする意味は大きい。